オープンマウスベアの誕生以降、Sugar Pumpkinsではベアの表情をより生き生きとしたものにするべく、細部に着色表現を施しております。
着色箇所はお顔周りが主で、画材用の軽い耐水性のあるマーカーを使用しています。
毛並みの変質が少なく、多少の耐水性もあるもの。
何より表現に自由度を損なわない多色展開の画材としてこちらを採用しましたが、企業製品の様な耐久テストを行うことは出来ないので経年による色落ち、色写りや変色の可能性はあります。不安定な素材を採用することは不本意な部分もありますが、それでも仕上げの着色、(メイクアップ!)を施したベアは突然息を吹き返したように血色の良いお顔立ちとなるのです。
今回のビスコッティビビ!はいつものオープンマウスと同じ色のピッグスキンを使用しましたが、
この子の元気なお顔立ちにはもっと赤いベロが似合うのではと思い舌ベロにも着色をしました。元々の製品カラーである薄ピンクのベロは気に入ってる色種ですが、ピッグスキンは色の展開が少なく、革製品は部分によって色味の差もあります。画像で可能な限りの素材感を撮影していますが着色をしても自然な色味の印象となりました。
他にも、目の奥、瞼、お鼻の周りなどにはブラウン系の着色を施し、本来動きのある部位の奥行きを表現しています。
また、本日はもう一つお話を。Sugar Pumpkinsベアの耐久性と安全面についてです。
先日お客様のお問い合わせより、この様なご意見を頂きました。
写真で拝見するにとても精巧なつくりをしているようにお見受けしますが、こちらのベアは一般的に作家さんがよくお作りになられているような観賞用でしょうか。抱きしめたり、所謂”普通のぬいぐるみ”のような扱いをしても大丈夫でしょうか?
HPの製品お取り扱いについてでは観賞用としてのベアとご理解いただいております。ですが、私自身、触れない子へのもどかしさなんて!愛していたら我慢できない性分です(笑)
ハンドメイド製品なので勿論、既製品に比べれば耐久性は劣りますが、お迎えをされた方がいつまでも大切にしてくだされば永きに渡り可愛がれる、安定した子を私は提供したいと思っています。
また、破損、耐久性も大事ですが、それよりも小さなお子様への誤飲や思わぬケガが発生しない作りということを第一に考えています。
企業製品としての玩具人形では破損してからの誤飲を想定した安全な形状と脱落の可能性を避ける接着を考えて制作します。ハンドメイド製品ですが私にはその観点からの拘りも追及したいと思っています。
1、目元部分の処理について。
目元はグラスアイの根元を通常の糸よりも強いキングスパン糸を使用しています。こちらを四本取り、輪になる状態で頭の後ろに通し結び込み、目元の瞼、グラスアイ共に接着剤にて強力に接着します。
糸だけでは設置部分のズレ、瞼の脱落の恐れがあり、グラスアイの外れを一番に避けるために二重の加工で接着します。
2、新しいぷっくりお爪の加工について。
こちらもやはりキングスパン糸、もしくは五番刺繍糸を通常の刺繍と同じく輪にして縫い付けています。形状出しの為の刺繍を施してから、接着、トップに樹脂加工を施します。
画像の通り立ち上がりとエンドが輪のため突起のない作りなので引っかかりや爪の脱落の恐れを回避する作りです。
3、お顔の表情付け安定化について。
お顔の表情は型紙の形状と毛並みカットの加工だけではなく、キングスパン糸を頭部反対側に引き抜き結び留める形で作り出します。綿を詰めたぬいぐるみは形状の変化が付き物です。このあたりがプラスチックのフィギュアとは違うところ。Sugar Pumpkinsベアはその子の個性を表す表情を可能な限り安定させる作りを追求しています。
経年により毛並みの乱れは免れませんが、いつまでも変わらない笑顔をあなたに届けたい。これは私の願いでもあり、ベアたちの願いでもあると感じています。
4、ピッグスキンの経年変化について。
革製品のため、擦れや汚れで色濃く変化していく素材ですのでお迎え頂いたご主人様にお取り扱いを注意して頂くことが一番劣化を留める助けとなります。
試しにatelierではベアたちの足裏に使う焼き印入りのピッグスキンで経年変化の実験を試みています。
画像は三男、一歳児のトレーナーにピッグスキンロゴをベアの足裏と同じく刺繍糸で縫い付け、普段使い。洗濯数十回で半年ほど使い倒したものです。
かなり手荒な扱いをしてこのような風合いとなります。端切れ部分はほつれの心配は無さそうですが、洗濯による水濡れと乾燥を繰り返すと少し縮みが見られます。ピッグスキンの色味の変化は多少の黒ズミもみられますが、ロゴが消えたりするほどでは無さそうです。
(本当に洗っちゃダメですよ!‼!これは劣化を想定するための実験です。)
この他、各種ジョイント加工部分は通常の5ジョイントテディベア同様、大変頑丈な締め付け加工をされているので脱落の心配はありません。ですが、緩みが生じる可能性はご了承ください。
鼻などの刺繍部分は先のとがったものに引っ掛けてしまうとほつれの原因になります。
人間と同じく、ベアたちも年を取るものです。けれどもハンドメイドのベアだからといってスキンシップが取れないのはあまりにも寂しいと私は感じています。
皆様の楽しみ方で。思うように可愛がって想い出を紡ぐ。
atelier公夢印はその気持ちに寄り添いたいと常々思っています。